設計の段階で部材寸法が出ましたら、材料一覧を書き、それに従っ
て木の選別(木取り)をして、その部材を養生させている間に、部材
の詳細設計を進めていきます。
この椅子は片持ち式で編包みの椅子ですから、かなり太い材料が
必要になりますので、入手できない場合によっては接ぐ必要も出て
来ると思いますが、部材の使用方法と木目を良く考えておく必要が
有ります。勿論接がない方が良いところも有りますので、自分なり
の考えで進めます。
基本的には板目(小さい寸法が柾目側)で取りますが、普通の椅子
以上に割れ、ヒビ、節、木目の向きや部材の目切れに注意して選
別します。
また、普通のフレームで組むものでは有る程度木の狂いを押さえ
込むことが出来ますので、多少アテ材気味の内部歪を持った材も
強度が有りますのでうまく扱えば使うことも出来ますが、片持ち式
の場合は狂いが出ると厄介ですから避けたほうが良いでしょう。
アームやロッカーは目立つところですから、なるべく同じ板から取る
ようにします。それも一枚の板を幅方向で半割りにして、左右の部
材に使えばベストです。他の部材は編み込みで隠れてしまう部分が
多いですから、強度さえ問題なければ多少見栄えの悪いものでも、
うまく木取りを考えれば使えます。
板厚が有りますので、ただ切るだけの木取りもなかなか大変になり
ます。私の場合には90ミリ程度までは横切り盤で一度で切ることが
出来ますが、径の大きな昇降版が無い場合には、天地を返して二
度引きするかバンドソーなどで木取ることになります。場合によって
は手鋸でギコギコになるでしょう。
写真は木取りした部材ですが、アームチェアの木取りした部材と比
べますと、ビックリするくらい太い部材になることが分かると思いま
すが、椅子の場合は R や角度が多いので、ここから下ごしらえ(木
作り)して部材加工をしていきますと、随分切り捨てる部分が多く出
ますので、切り出しで作る椅子は効率が悪く、少しでも歩留まりが
良くなるように、設計を含めてですが木取りを良く考えて進めます。
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