この椅子では背座の綿ロープ編みは、緩い三次元曲面を出すよう
にしますが、同じフレームでも編み方により曲面が変わってしまい
ますし、同じ形に編めたとしても張りの強弱で座り心地が随分違っ
てしまいます。木工と同じで基準にするものが無い場合は作業が
厄介になります。特に三次元曲面を出すような場合は再現性が難
しくなりますので、そうした意味も含めて上写真のような編み冶具を
二種類使います。もちろん冶具が無くても編むことはできます。
写真の金属の冶具は3t×25ミリ×700ミリのステンレスの平鋼を R
に曲げただけのものですが、編み込むテンションは相当かけますの
でこれでもたわんでしまいます。また編むことを考えますと、面の形
状が変わってしまいますので、物理的にこの平鋼は少しでも薄くし
たいところですし、薄くするために幅を広くしますと編みにくくなって
します。
また編み進めていく途中で抜き取りますので、そうしたことも含めて
考えていかなければなりませんのでなかなか難しいところです。
実際にはこの冶具を複数本使ったり、たわむ寸法を見越した R の
物を使って編んでいきますが、この冶具については改善の余地が
多く有りますので、編み方も含めてまだまだ発展途上ですから、こ
こに書いてある事を叩き台として色々工夫してみてください。
写真の下の木片は冶具と呼ぶようなものではなく、23t×30ミリ×
700ミリのただの木の角棒です。これは背の後面の縦巻きを押さえ
るためのものです。
下の写真は編むために必要な道具になります。説明するまでもな
い物ばかりですが、簡単に書いておきますと左からクリップタイプの
クランプ2本で、50ミリ程度のものをクランプ出来るものが必要にな
ります。その斜め上がミニクリップ2個で、なるべく強く挟むことがで
きるものを選びます。その右下が結束バンドと締める工具です。結
束バンドはホームセンターなどでも入手できると思いますが、一番
小さいものから二三種類をロープ径に合わせて使い分けます。
その隣のラジオペンチに見えるものは、先が平らなやっとこタイプの
ものです。一番右は木ベラでその隣は細い平ヤスリになります。
後は説明するまでもないでしょう。
他にも写真に無いもので、冶具を止めるゴムバンド、ロープを止め
る小鋲、釘締め、金槌、皮手袋なども必要になります。
|