椅子は実用一辺倒からオブジェ、工芸、芸術作品のようなものまで、
本当にさまざまなものが有りますし、作り出すことが出来ます。ハー
ド面からソフト面まで仕様、形状、構造、素材と、それぞれにまた色
々なバリエーションが有りますので、複合要素を纏め上げて質の高
い椅子に作り上げることは奥が深く、一筋縄では行きませんが、そ
こに面白さと楽しさが有ります。
前にアームチェアの製作手順を書きましたが、いたって標準的な形
状で座は板張りでしたが、ここでは写真のような背と座を面ロープ
で編み包んだ、片持ち式のロッキングチェアの製作過程を書いてい
きます。
イージーチェアはどちらかと言えば、自分の感性に合ったものを一
脚身近に置いて楽しんだり、生活に潤いを与えてくれるような椅子
と捉えて良いと思いますが、この椅子もどちらかと言えばイージー
チェアの部類に入ると思いますので、実用一辺倒の生活に無くては
成らない椅子ではありませんが、一時の休息、安楽を楽しむタイプ
の椅子です。
イージーチェアと一口に言いましても、これもまた様々なタイプが有
りますが、一般的にイージーチェアは座が低く、座と背の対地角度
も大きく取る傾向にありますので、安楽性の高い椅子になりますが、
逆に考えますと体の体勢を有る程度、固定、強制される傾向に有り
ますので、長時間座るには少し辛いところも有るように感じます。
また、椅子の仕様によっては立ち上がる時に、少し辛い事も出てく
る傾向に有るようですが、そうした意味からもロッキングチェアは揺
れますから角度的に色々な体勢になりますし、立ち上がる時には
椅子が付いて来てくれますので、わりと楽に立ち上がりやすい傾向
にありますから思いのほか快適で、有る意味実用性の高い椅子で
はないかと思います。
ロッキングチェアはその良さのわりには、普及率が低いようにも感
じますが、どうしても場取りますのでここが一番のネックになってい
るのではないかと思います。また、畳やカーペット等の敷物の上で
は動きが悪くなりますし、畳屋や敷物を傷めやすいことも影響して
いるかもしれません。 椅子としての製作過程はアームチェアと変わりませんので、重複す
る部分はなるべく省略して、ホゾ組みの異なる部分の加工と綿ロー
プの編み方について重点的に書いていくことにします。
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