少し横道にそれましたが、写真のように座面が編み上がってイス
の完成です。
編み座のフレームと編み方についてちんたら書いてきましたが、少
しまとめますと、フレームはとにかくペーパーコードを編むことで、部
材を引き寄せる方向ではありますが、イスとして存在する限りはテ
ンションがかかり続けますし、座ることで更に変動荷重が加わるこ
とになりますので、ホゾ強度をよく考えて設計する必要があります。
ベニマツのような軟材ではなかなか辛いものがありますが、とにか
く針葉樹系の木を使う場合は、特にホゾ、部材強度を確保するよう
に努めます。
またこのイスでは少しでも当たりを良くするために、前後の座枠に
少し R (湾曲)を付けていますので、その部分のホゾには捻るモー
メントが更に大きく加わります。ただこうしたところも R を付けるこ
とで得られる効果と、それによる構造対処などの加工の手間や歩
留まりの悪さなど、メリット、デメリットをどう捉えるかは人それぞれ
ですが、なるべくイス全体のバランスを考えながら見ていきます。
一般的に編み込むイスは、角材の框組みだけで構成しますし、こ
の編み方は座枠をなるべく薄く(上下方向)する必要が有りますの
で、イス全体としての強度を上げにくいですし、特に前後方向への
変動負荷に対して強度を上げるために、貫の入れ方などの構造を
よく検討します。
ペーパーコード編みについては、座枠から座枠へのペーパーコー
ドの渡し方が二種類ありますし、フレームも前後左右の座枠自体
をこのイスのようにずらす場合と、同じ位置で組む場合と二通り有
りますので、理屈的にはそれぞれに合った方法があるのかもしれ
ませんが、そのそれぞれの特徴を考えて自分なりにシックリくる方
法で編めば良いでしょう。
どちらの方法で編むにしても、編むこと自体としては、前後左右の
座枠に渡したペーパーコードがクロスする部分を必ず接触させて、
その接触した部分を、いかにしっかりロックするかが一番のポイン
トでしょう。
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