イスの組み立ては、一般的に前後をそれぞれ組み立てて、最後に
前後を組み立てる事が多いのではないかと思いますが、後脚間を
絞る場合や色々な要素の兼ね合いで、人それぞれ最適な組み立
て手順が変わると思いますので、自分なりの手順を良く考えます。 このイスの場合は後足間を絞っていますが、前後をそれぞれ組み
立てて、最後に前後を組み立てる事も可能な構造ですが、前脚前
部に R を付けて削りますので、前脚間を組んでしまうと R 削りがで
きなくなってしまいますので、少し面倒な組み立て手順になります。
また前後を結ぶ貫が後は平ホゾ、前は胴付きの二段の丸ホゾで
すから、後の平ホゾ側の胴付を綺麗に密着させるように手順を考
えます。
まず始めに、後脚間の貫と前後を結ぶ貫の三枚の重ねホゾ部分
を組んでいきます。上の写真はその様子になりますが、湾曲してい
る前脚間の貫は、ホゾ位置を決めるために軽く差し込んでいるだ
けで、組み付けてはいません。
この重ねホゾは前後方向の加重に対して要になる部分ですし、強
度的には少し無理のある構造ですから、クランプ不要な程度に、き
つめに仕上げて有りすまので、ホゾ穴に接着剤を塗布してホゾ側
の胴付き面だけに適量の接着剤を塗布して挿し込み、はみ出した
接着剤を拭き取り、写真のように前側の貫を挿した状態で作業台
などの上で捻れを確認して、狂いが有れば修正しておきます。
後は写真のように楔を打ち込みます。
胴付きの密着が悪ければクランプで押さえますが、前側の貫は組
み付けていませんから、クランプは掛けることが出来ませんので、
簡易には丸ホゾの先端に掛けることになります。万全を期すので
あればコの字型の冶具を作り、重ねホゾ側にホゾをまたいで当て
て、丸ホゾの先端とで締め付けます。
この時に、下の写真のように貫の直角をスコヤで確認して、狂いが
あれば斜にクランプをかけて修正します。後は接着剤の乾燥を待
ちます。
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