| |
Challenge 3
13 部材加工 10 2003.12.18記 |
|
次に貫を加工していきますが、始めに前後の貫を加工していきま
す。何度も書いていますように、ペーパーコードを編むイスではこ
のイスの編み方の性質上、前項までで加工の終わった座枠は上
下方向の寸法をなるべく小さく(薄く)しておく必要が有りますが、イ
スは前後方向への過重負担が大きいですから、一番強度を考えて
おかなければいけない部分になります。
貫無しのイスはシンプルですっきりして良いものですが、こうした編
み方では座枠だけで前後方向への機械的強度を持たせることが
難しいので、根本的にイス全体の構造、形状から工夫したり、この
イスのような標準的なスタイルのイスでは、前後方向への貫の入
れ方が非常に重要になります。
また前に書きましたように、後脚間を絞るイスの仕様では、前後の
脚を結ぶラインに角度が付いてしまいますし、外観的なことや後方
への安定感を出すために、後脚は少し後方へ倒す(広げる)ことが
多くなりますので、前後の脚間は平行でなくなることが多くなり、特
に平ホゾの胴付きでは前後を結ぶ貫が入れにくくなりますので、加
工を含めて結構厄介な部分になります。
貫自体はイスの座り心地に直接影響の無い部分ですが、椅子の
耐久性を考えると非常に大切な部分です。ただ前脚間に貫を入れ
る場合は足元の動きに制約が出てきますので、使い勝手に影響を
与える部分ですから、強度以外のことも考えていく必要が有ります。
勿論外観も非常に重要ですから、総合的に考えて自分なりの貫の
入れ方を工夫してみてください。
前後の脚間直に貫を入れれば一番強度を上げやすいのですが、
このイスの場合は写真から分かると思いますが、前後それぞれの
脚間に貫を入れ、その前後の貫間に前後を結ぶ貫を入れていま
す。また前脚間の貫は、少しでも足元のスペースを確保するため
に少し後方に湾曲させていますので、この部分の前後を結ぶ貫の
接合は平ホゾでは厄介になりますので、丸ホゾにしています。
その分前後方向の強度確保のために、後側の貫の接合は重ねホ
ゾ(三枚)としています。
|
|