前項で組み立てた貫の接着剤が乾燥しましたら、余分な楔を切り
取り、小鉋で飛び出しているホゾを少し残して削り取り、最後に上
の写真のようにノミで削って仕上げます。この部分はこれでひとま
ず置いておき、他の組上がりを待ちます。 次に二段目の写真のように前脚と側座枠を組み立てていきます。
組み立て自体は貫と同様に進めていきますが、前に書きましたよ
うに構造と仕様の関係から、前項の貫と同じようにこの場合も前脚
と側座枠のホゾの片側だけを組み付けますし、ここで側座枠に角
度が付いてきますので、クランプがけに注意、工夫して胴付き面が
綺麗にしっかり密着するようにします。
このイスでは構造上、前後方向への強度に対して弱いところが有
りますので、側座枠と前後を結ぶ貫の接合は、胴付き面の密着や
楔の打ち込みを特に意識してしっかり組み付けます。
後は接着剤の乾燥を待ちます。接着剤が乾燥しましたら飛び出し
ているホゾを小鉋で削り取りますが、ここは R の加工が有ります
のでノミで仕上げる必要はありませんから、残さずに小鉋で削り取
ります。
次に三段目の左写真のように前脚をバイスに固定して、前脚の両
木口に型紙で罫書いた R に従って前面を削っていきます。
三段目の右写真は削り終わったところになりますが、こうした部分
の鉋掛けは出来れば鉋を二つ用意しておき、仕上げ鉋は見栄えを
考えた最後の一削りするだけに使います。
また替え刃式の鉋などを使っている場合には、新しくおろした替え
刃は必ず仕上げ削り(仕上げ鉋)だけに使い、少し切れ味が落ちた
ものを仕上げ削り以外の鉋に廻します。こうすることで仕上げ鉋は
絶えず良く切れる状態で使うことができますし、替え刃を効率よく使
い廻すことができます。
ただ下端だけはそれぞれの鉋を絶えずよく調整しておきませんと、
鉋により削り面が大きく変わってしまいますので、仕上げ鉋で最後
に一削りとは行かなくなってしまい、二削り、三削り・・・と手数を増
やしてしまい面倒なことになってしまいます。
|