椅子では原寸図で設計していきましたが、キャビネット(箱物)は
通常原寸図では大きくなり過ぎて、とても描けませんので縮尺で
描きますが、私の場合は殆ど1/10です。ただホゾ部分や板を張
る所などの寸法関係は、必ず各部分の原寸図を書いて確認しま
しませんと後で不都合が出やすくなります。
このキャビネット程度の物でしたら棚板1枚だけの単純な箱です
からたいした事は有りませんが、大型で複雑なものになりますと、
あちら立てればこちらが立たずで、纏め上げるのはなかなか厄介
ですから、部分原寸図を併用してくれぐれも慎重に進めます。 おおよそ構想が決まりましたら、まず外形図を描いて行きますが、
箱物でも私の場合は全てフリーハンドで書いてしまいます。次に
外形図と各部の原寸図から各部材の図面を起こして設計終了で
す。
このキャビネットは隙間家具ですが、前項で書きましたようにあえ
て框構造としましたが、四隅の柱は少しでも間口寸法を稼ぐため
に、板厚は25ミリと框としては薄くしていますが、その関係で落とし
込みは難しくなりますので、各面の薄板は全て切り欠きの相欠き
打ち付け接ぎにして有ります。
これについてはChallengeの「相欠き打ち付け接ぎについて」に書
いて有りますので参照していただければと思います。
天板は板厚が40ミリで幅370ミリ、奥行きが605ミリですが、普通の
キャビネットでは天板の反り止めは2本入れて、本体の横框にビス
止めして取り付けますが、この場合は幅が370ミリと狭いので、反
り止めは1本として本体部材数は1本増えますが、上部の前後の
上框に天板取り付け用に1本部材を渡して、それにビス止めする
ようにしてあります。
この仕様の天板であれば一般的には駒止めが多いと思いますが、
椅子の座板の取り付けでも書きましたが、私は駒止めは何故か
使いませんので、反り止めを蟻挿しします。 扉については通常框で組みますが、間口が狭いこともあり少しご
てごてしますので、2枚の平板を相欠きにして伸縮逃げの隙間を
空け、端嵌めの扉にして有ります。
これについてはChallengeの「その他のホゾ、構造について 16」
中ほどより少し書いてありますので参照してください。
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