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 2 椅子の設計 2002.10.3記

図面と型紙 椅子は原寸図で設計します

写真はクリックで少し大きくなります。

 

   
    まずどんな椅子を作るのかオーダーにより構想を練りますが、
  スケッチや頭の中でシュミレーションしておおよそのイメージを
  掴み、後は図面を書いていきますが、椅子の場合は箱物と違
  い、Rや角度の付いた部材が多くなりますので、角度、位置決
  め、寸法出しや部材の木取りが大切になります。また椅子の
  場合は座り心地だけでなく、見た目も非常に重要ですから、
  全体のバランスを確認する意味もあり、原寸図で設計してい
  きます。
  写真の大きな図面はA1ですが、まずこれだけの大きさが有れ
  ば殆ど対処できますし、ダイニングチェアのような小ぶりの物
  でしたらB1で十分でしょう。
  私の場合は側面図のみ全体を書き、貫や背板のR部分や、
  アーム部分などの各部を空き部分に書き込んでいきますと、
  これらからRを取った部材などの検討や寸法出しが楽になり
  ますし、設計や計算の間違いが少なくなります。
  
  写真の上部にある3点は3〜5ミリのシナ合板で作った各種R
  の型紙ですが、椅子の場合には必要なRや曲線が多く出てき
  ますので、初は面倒でも型紙を作っていけば、いつの間にか
  必要なRや形状の型紙が揃いますので、何れ殆ど新たに作
  らなくても対処できるようになります。
  また設計で使用した型紙で部材にけがきますので、誤差も
  少なくなります。
  型紙以外にも椅子の仕様により加工用のテンプレートや冶具
  を考えたり設計しておく必要も出てきます。その他写真には
  有りませんが、分度器や角度定規が必要になってきますが、
  これも良く使う角度の型紙(三角定規でも良い)を作っておくと
  便利です。
  ちなみにラワン合板は表面が粗いので、滑らかな線を得られ
  にくいので避けた方がいいでしょう。板厚についてもR部分に
  反らしてけがく事も出てきますので、あまり厚い物は不適です。
  
  また設計においては、自分の技量や道具による部材の加工
  方法、手順や組み立て方法、手順なども加味して良く考えて
  設計して行きませんと、設計は出来たけれども制作出来ない
  事も起きてきます。
  各部の寸法などについても、なるべく同じ値になるようにして、
  材料の共通性、歩留まりや作業効率が上がるように、考えて
  行きます。何気ないアームチェアですが、出来上がった椅子
  としてだけでなく、作る側の事まで含めたあらゆることを考慮
  して、総合的に質の高い椅子を作り上げることは至難の業
  です。まだまだ改善すべき点が、てんこ盛りです。でも売って
  しまいましたぁ〜〜
  原寸の設計が終わりましたら、1/10 の外形図を描いておき
  ますが、私の場合原寸図以外は全てフリーハンドで書いてし
  まいます。写真左の小さい図面になりますが、見積もりに付
  けたり制作時の寸法確認や図面の整理検討には大きな図
  面では扱いが厄介です。後は写真右の小さい図面になりま
  すが、各部材の図面を書いていきます。これで設計終了です。