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  いのちの授業 鈴木中人

いのちの願い 


 
 『どんなことがあっても お父さんお母さんより絶対早く死んではいけない』 いのちの授業の思い



   ある小学校で、いのちの授業をしました。
 
   景子のことを話したあと、子どもたちに感じたことをインタビューします。
   一人の男の子にマイクを向けると、緊張したのでしょうか、突然、泣き出してしまったのです。
   ずっと涙が止まりません。「とっても感動したんだよね」と、先生が話しかけます。
   男の子は、「うん」とうなづいて、先生に抱きつきます。感情豊かな子だと、私は思いました。

   二週間後、子どもたちの感想文が届きました。ある感想文に先生のメモが添えられています。

   「この子は、授業で泣いてしまった子です。6年生ですが、ほとんど漢字を書けません。
    いつも無口なので、何を考えているかと心配していました。
    この子の気持ちを知って胸が熱くなりました。
    職員室で話すと、みんなが涙を流しました」。

   平仮名ばかりの感想文です。読み終えたとき、私も涙がこぼれました…。

   「おやこうこうしようとおもっても、ぼくは なんのとりえもありません。
    かあさんととうさんに いつもめいわくをかけています。 
    なにかないかとかんがえたら かあさんととうさんよりも はやくしなない
    にしました。だから ぼくはがんばっていきていこうとおもいました」。

   この子は、たとえ漢字は書けなくとも、とても大切なことを心に刻んでくれました。
   親より早く死なない! 生きよう!と。
   なぜでしょうか。
   この子を愛してくれた、支えてくれた、お父さん、お母さん、先生、大人がいたからです。

   「親より早く死なない」。

   それは、いのちを大切にする思いが一つに凝縮されたものです。
   そう実感できるとき、子どもの心には確かな思いが芽吹いています。
   自分が「愛されている」「支えられている」
   家族と「つながっている」
   いのちは「かけがえがない」
   いのちには「限りがある」
   これこそが、「いのちの実感です」
   いのちを大切にするとは、この感性を育むことではないでしょうか。

   「愛されている」「支えられている」「つながっている」「かけがえがない」「限りがある」。
   そのことを、あなたの思いとともに子どもに語ってあげてください。
   きっと、子どもの心に感じてくれます。






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